Homeコラム三善晃さんを偲んで(4)

三善晃君の想い(尋常科時代)

尋4B 川口(旧姓 福田)幸夫    

 昭和20年8月15日戦争は終り、貧しいながらも日本に自由の風が吹き始めた頃、14-15才で私は彼にヴェルレーヌ、ボードレール、さらに彼が好きであった早熟、早世の詩人アルチュール・ランボウの詩の幾つかを教えられた。これは戦時中ガリ勉小学生だった私にとって目からうろこが落ちた思いで、その後、阿佐ヶ谷の彼の家を幾度か訪れ交友が深まるにつれ、彼が音楽はもとより、文学、絵画、更には演劇にも人並以上の豊かな才能を有していることを知り、彼に対する敬愛の念は一層深まっていった。

 このような年月の流れの中で、最も強く印象に残っているのは昭和21年頃、日本の家庭では希であった自宅でのクリスマスパーティーを三善家では毎年、子供達を中心に行っていたことで、子供達--兄弟・2姉妹が各々招待したすてきな仲間達が集い、屋内をデコレーションで飾り、音楽を奏で、ともに歌い、笑い、この上ない楽しさに時が経つのも忘れ、夜白々と明けるまで続いた。

 「かつては、もし俺の思い出がたしかならば 俺の人生は祭りだった あらゆる心が開き  あらゆる酒の流れた祭りだった・・」  アルチュール・ランボウより

 良き友として私の青春に大きな驚きと喜びを与え、その後の人生にも前向きの影響を与えてくれたことに心から感謝している。65年余の歳月を経た今でも目を閉じれば、色白でハンサムな少年時代の彼の顔が浮かんで来る。三善晃君のご冥福を祈り、ご遺族の皆様方に心からお悔やみを申し上げます。  合掌

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